【お噺】なんだかとってもいい気分だ。
小さい頃から本を読むことが好きだった
母親に
「本を読みなさい。本はあなたの心を豊かにするから」
そう言われて以降、小説も詩も、哲学書も、本ならばとりあえず手にとって読んでみた。実際母親の言葉は正しくて、同年代の奴らよりも多くの知識を手に入れることができたと感じるし、単純に頭良くなった気分になった。
本と教科書は違う。
正直、学校の教科書に書いてあることはよくわからなかった。
内容も面白くなかったし、興味が持てなくなった。
次第に学校に行く意味もわからなくなったし、
勉強も億劫になった。
本のおかげで言葉のボキャブラリーが増えたおかげか
どんなに先生に叱られても、
それをいい負かせるほど口が強くなった。
言葉が多いやつが無敵だと思った。
学校は無駄だし、
学校に通わないとまともに働かせてくれない社会もゴミだと思った。
学校に行く時間があれば、
同じようにそこが無駄だと思う奴らとつるんでたほうがましだった。
あいつらは、遊ぶ楽しさを知ってるから、”楽しい”場所にいくらでも連れてってくれた。
ただ、あいつらは頭をはたらかせようとしないバカだったから、あいつらの話は超がつくほどつまらなかった。
そんな僕も
とうとうこの先の選択をしなければならない年になった
勉強もできない
出席日数も足りない
行くあてもなく、希望もなく歩いてた俺が
あの日であったのは、歌だった。
ただの歌じゃない
ラップだった。
単純なリズム音に載せられた言葉の渦。
その渦を脳が受け止めようと必死になった。
一度聞いただけでは聞き取れないほどの渦が
なぜか気持ちが良かった。
渦なのに、きちんとしているから、これはむしろ波なんだと理解した。
僕がその波に乗れてないだけだった。
あの波に乗れたら、どんなに楽しいだろうか。
それが、
全ての始まりだった。
全部を捨てて、
マイク片手に生きていくことを決めてから
両親は戸惑い、先生は呆れた。だけど、バカなあいつらはかっこいいって言ってくれたし、何より仲間ができた。
それが幸せだった。
今日、
大きなステージに上がる。
このステージがこの先の僕の未来を大きく左右させることになるだろう
緊張する。
心臓が爆発しそうなくらいだ。
それなのに、
この気持ちはなんだろう
すごく心地いんだ。
なんとかなる気がする。すごくいい気分だ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
私の大好きなラッパーNucksalの記事を書く機会をいただけました。
まさか、
自分の好きな、尊敬する人を紹介することができて
それでお金がもらえるとは思っていなかったので
この機会を与えてくれた全てのひとに感謝がしたいです。
今回はNucksalが「show me the money6」のファイナルで披露した曲をテーマに”お噺”を書きました。
もう少しオリジナル性の高い物を書こうとしたんですが
なにぶんNucksalの書く詞があまりにも素晴らしくて
ここから新しく何かを生み出すくらいなら
もう、ラッパーを主人公にした”お噺”を書こうと思い、こういう結果に。
完全に私の空想なのですが
Nucksalって本当に
小さい頃から本たくさん読んでそうだなって思ってこうなりました笑
彼の曲はどれも素晴らしいので、ぜひ聞いてみてくださいね。