All I need is one sun

日常を日常らしくするためのライティング。

愛と自我に戸惑うすべての者たちへ問いかける映画だった。

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「ジョーカー」を見た。

公開日2日目で、期待と不安で胸の奥がキュッと詰まるほど緊張した状態で

席に座り、なんでもないような顔をしてスクリーンに目を向けていた。

 

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ヒース・レジャー

「ジョーカー」を見る前に知っておかなければならない俳優の名前だ。

彼は2008年に公開された「ダークナイト」で映画史上に残るであろう

”悪役”を演じきって見せた。ジョーカーと言うピエロを装ったサイコキラー

”人間であることを放棄し、悪魔へと変わった恐怖の対象”として私たちに

新たなジョーカーを見せただけでなく、むしろそれが真のジョーカーであるかのような納得感があった。

 

私もヒース・レジャーのジョーカーにどっぷりハマってしまい

ジョーカーの計り知れない狂気と悪に酔った身であったために

今回の「ジョーカー」を観ることへの不安が隠せなかった。

 

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「ジョーカー」を演じるホアキン・フェニックス

誰もが認める演技派俳優であろう。だからこそ彼の演じる”ジョーカー”に全世界が注目を集めたはずだ。

 

見た感想を、一言で言うとするならば”ジョーカーは生きていたんだ。”だった。

私にとってジョーカーは、人間の皮をかぶった怪物のような存在で

極悪な罪を重ね続けるある種の神格さに恐れ戦いていた身だった。

 

だからこそ、今回ホアキン・フェニックスが”ジョーカーの誕生”を演じてくれたおかげで私たちは救われたように思う。

 

なぜなら、

ジョーカーは人間はであるが、私たちとは程遠い存在であることがわかったからだ。

 

彼の心を苦しめた、母や職場の人々、TVショーのMCであるマーレイをはじめとした関係者だけでなく、ゴッサムシティの治安や社会状況、彼自身の中にある孤独感や、絶望は、ただ映画館に足を運んでコーラを飲み、ポップコーンを食べながら眺める私たちには一生体感することのできないものである。

 

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だからこそ、”ジョーカー”は”ジョーカー”として成りえ、

ヒースをはじめ歴代の俳優が培ってきたゴッサムを恐怖に沈めた悪魔が生まれた

その事実を、2019年にしてフィルムに写してくれたことに感動する。

 

「ジョーカー」は、音楽も美術もカットシーンもすべてが美しく、

ホアキン・フェニックスの底力を改めて感じた映画だった。

 

私は、この映画を

子供も大人も関係なくすべての人々が

映画館であろうと、家のDVDだろうと、スマホ画面だろうと

どのような形であっても触れる価値のある

映画史に残る映画であると思ってならない。

 

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