新しいカーテン。
恋人はカーテンのようなものじゃないかと思う。
自分自身が部屋だとしたら、カーテンの色や柄で部屋の雰囲気も変わり、外からみる景色も変わる。
だからこそ、恋人もまたカーテンなのである。
私の歴代のカーテンは、良くも悪くも地味で有った。
しかし、その地味さが良かったのだ。
部屋の雰囲気を崩さず、調和し続ける感じが非常に心地よかったように思う。
自宅に友人を招くと、友人は皆長居するのだ。
いつまでウチでのんびりする気ヨ!と文句を垂れてしまいたくなるほど、友人はまるで自分の家かのように過ごすのである。
これは私の部屋がそうさせているのかもしれないが、カーテンもその一片を背負っているに違いないと、私は唇を噛む。
だとしたら、部屋に馴染むカーテンではなく、
カーテンが部屋を馴染ませるような、新しいカーテンに出会おうと試みた。
当然、友人は部屋に来なくなり
私の家は、私のものではなくカーテンのものになる。
気がつくと、私の家はなくなり、私はカーテンとともに新しい家へと引っ越したのだ。
新しい家とカーテンは、前世からの友人かのように調和する。
部屋は、私が今まで飾ったことのないような色を選び、置いたことのない家具を置いた。
私だけが孤独を感じ、私だけが自負の念にとらわれる。
そんなカーテンと、私はどう対峙すればいいのだろうか。